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Image by Ashish R. Mishra

ストーリー

ARUKUKIのストーリー

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ガジュマルという木は、枝から気根という根を生やし、何本も絡まって幹になることで、長い年月をかけて移動します。そう、本当に木が歩くのです。行きたいところに行きたいだけ。ゆっくりと歩いていく。

 

生きていることは素晴らしい。人も鳥も植物も空気も、かけがえのない命であふれている。先の見えない時代だからこそ、未知を楽しめる力を大切に。

そのお手伝いをしているのがARUKUKIです。

登場人物

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奥野 雄貴​
Yuki Okuno
 

ARUKUKI株式会社 代表取締役

外資コンサル・日系メーカーでの国際税務・会計業務に従事後、複数のスタートアップにて事業責任者を務める。その後シンガポール拠点の投資会社にて、主にインドへの投資業務に従事。帰国後に独立。多様なビジネス・グローバル環境での経験とともに、インテグラル理論・成人発達発達理論・ゲシュタルト療法などの学びと実践を活かし、組織開発コンサル、コーチング、ファシリテーション、アドバイザリーサービスを提供している。

国際コーチング連盟日本支部 代表理事・国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)・MBTI®認定ユーザー・全米ヨガアライアンスRYT200修了・ソマティックゲシュタルト修了・ゲシュタルト療法 ベーシックトレーニング修了

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おくちゃん
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こっちゃん
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松下 琴乃
Kotono Matsushita

 

ARUKUKI株式会社 取締役

外資系金融機関でのマーケティング業務を経て2009年に渡英。アートのいろはを学ぶ。2012年にアート関連事業で独立。「生きるということそのものがARTだ!」と気づき、2017年より対人支援の道へ。現在は個人・法人向けにインテグラル理論・成人発達理論・U理論などをベースに『成長と変容』を扱うコーチング、ファシリテーション、オリジナルコンテンツの開発等を提供。

国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)・米国認定Co-Activeプロフェッショナルコーチ(CPCC)・PICJ認定RCPプラクティショナー・NLPプラクティショナー・ゲシュタルト療法 ベーシックトレーニング修了

アンカー 1

#1 つまらない男

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日本・アメリカ・シンガポール。過ごす場所だけでなく学校や職場、コミュニティも移ろうなかで、いつしか私は誰よりも「空気を読める」人になっていた。
 
呼吸をするように、場の空気を読み、ステークホルダーの顔色を伺い、もっともバランスが良くなるよう最善手を打つことをやってきた。
 
私は人を笑わせることが好きだ。
目の前の人がごきげんでいると、自分もごきげんになる。そんな循環がまわり続けたら世界は幸せで満ちあふれると思っていた。だから、人を笑わせたり、面白いことを見つけてシェアをするというのは、自分にとって自然な生き方だった。
 
そして、カッコよくありたいというのも自分の中で大切な価値観だった。そのために、在り方や見た目も随分研究した。
 
しかし、彼女に出会い、私は目を背け続けてきた自分に出会うことになる。彼女とは私の妻、こっちゃんである。
 
彼女は、私がこれまで出会った人とは違い、私の関わりに対して「つまらない」とハッキリ言う。
 
これまでの自分が崩壊していくようだった。 しかし、妻はこうも付け加えた。 「あなたは面白さを狙わない方が、うんと面白いよ」と。そこで、私は初めて気がついた。
 
何も意識しない、ありのままの自分の可能性に。
ちょこっと解説
おくちゃんは人当たりが良く、チームの中のムードメーカー。仕事に対しては真面目な姿勢で挑み、よく気の利く人気者だ。一方で、周囲の様子を見ながら場を盛り上げるような役割を自然と担うことが多かった。
 
こっちゃんから見たおくちゃんは、その役割を心から望んで担っているというよりは、バランスをとるために無意識に頑張っているように見えた。

実は、おくちゃんは自分自身に対して無意識に「自分はつまらない人だ」という思い込みを持っていた。
※これをユング心理学では「シャドウ」という。

※「シャドウ」とは自分自身についての認めがたい部分、人生において生きてこられなかった側面のこと。

​シャドウに自覚的になったおくちゃんは、その後、「自分にはつまらない部分もあるよね」とシャドウを受容し、より自然体で生きられるようになった。
アンカー 2
私はかつて夫と同じように、空気を読もうと努力をする人だった。私は誰よりも場を見て、先回りし、失敗しないように全力で手を打つような生き方をしてきた。​それは、人に迷惑をかけないためだ。
 
私は自分のやり方に誇りを持っていた。
私が先回りして手を打ちさえすれば、失敗しないどころか上手くいく。誰にも迷惑をかけない生き方は、私に自信をもたらした。
 
​基本的に、全部自分でやる。
誰にも頼らない。

しかし、同時に虚しさも感じていた。気が付けばオールラウンダーになっていた。私と同じくらい立ち回れる人が周りに一人もいない。だから、余計に自分がやるしかない状況が増えていった。

迷惑をかけずに成果を出すことは自分の中で大切な価値観だった。しかし、30歳を超えた頃、私のいなくなったチームや組織が衰退していくことに気がついた。私が迷惑をかけまいとして、仕事をしすぎたため、人が育っていなかったのである。

短期的に見れば結果を出しているが、長期的に見ると人が育っていない。その結果、組織が衰退してしまうことは、周りにとって迷惑なことだ。

迷惑をかけまいとして尽力してきた自分自身がその根源だったことにショックを受けた。

私は長い時間をかけて「自分には迷惑な部分がある」ということを受容していった。そのプロセスの中で、人に頼ることや弱みを見せることの大切さを学んでいった。

私の「迷惑さ」は、今は「感じたままを率直に伝える」という特性に変化をした。

#2 迷惑な女

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ちょこっと解説
こっちゃんは幼いころから「人に迷惑だけはかけないように」と育てられれてきた。幼いこっちゃんには、何が迷惑で、何が迷惑ではないのかがよくわからなかった。そこで、自分なりに考え、迷惑をかけないよう一生懸命に生きてきた。その結果、誰にも頼らず、弱音も吐かず、自分の力でやりきるという生き方が身についた。

そして、こっちゃんは、無意識のうちに「私は迷惑な女だから、迷惑をかけないように気をつけなければならない」という思い込みを持つようになった。

こっちゃんのシャドウの1つは「迷惑な女」だ。

シャドウに自覚的になることで日常にすぐに大きな変化があることもあるが、こっちゃんの場合は受け入れられないほどの大きなシャドウだった。シャドウとともに歩むプロセスは個人差がある。自分なりの付き合い方を探求することが大切だ。

シャドウは無数に存在する。自分自身にとって生きづらさを感じた時には、シャドウと出会うタイミングがきているのかもしれない。
アンカー 3

#3 成長の限界

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つまらない男と迷惑な女が出会い、結婚をした。
 
私たちはお互いのシャドウに自覚的であり、対人支援のプロフェッショナルでもある。お互いに前の結婚の時には、望まない結末(離婚)を迎えることとなったけれど、今回の結婚は大丈夫だ!と希望を持っていた。

価値観も合うし、対話をする時間も意識的に持っているし、お互いの弱みもさらけだせる。

しかし、その希望も数か月で打ち砕かれた。2人の間に小さな違和感が現れ始めたのだ。

​夫婦の間で、つまらない男と迷惑な女のパワーが無意識に発動した。おくちゃんは場の雰囲気を明るくしようと一生懸命になった。こっちゃんは、そんな彼を見て、面白いと思っていないのに愛想笑いをした。

そして、2人はどんどん疲弊していった。

私たちは関係性を良くしようと、旅行に出かけたり、対話をしたり、同じ分野の勉強を始めたり、様々なことにチャレンジした。

しかし、関係性は悪化の一途を辿り、頻繁に不毛な喧嘩をするようになった。ついに、こっちゃんが絶望した。お互いに「夫婦で成長していけると思っていたけれど、この関係にうんざりしている」ことを認めた。誰も悪くないし、お互いに努力しているのも理解していたけれど、私たちにとって大切なことがだんだんとぼやけていくようだった。

​私たちは自分たちだけではこの課題に向き合えないことを痛感し、夫婦カウンセリングを受けることを決めた。

夫婦の間に第三者が入ることで、これまで無意識に抱えていたものに気がつけるようになっていった。そこで言われて救われた言葉がある。

「喧嘩出来るのは大切なことですよ」

​お互いに大切にしているからこそ意見をぶつけ合える。お互いに譲れないからこそ喧嘩が出来る。そう気がつけたところから、私たちの関係性はシフトし始めた。
ちょこっと解説
おくちゃん・こっちゃん夫婦は対人支援のプロフェッショナルであり、人の心の働きの知識や関わり方の経験が豊富ではあるが、自分自身のことは死角領域だらけである。

だからこそ、対人支援者であっても定期的にコーチングを受けたり、カウンセリングを受けることが必要だと言われている。
2人もそれまで、個人でセッションは受けていたが、それは主に個人の内面を取り扱うものだった。
 
夫婦の間には関係性がある。2人でセッションを受ける場合は、個人の内面ではなく「関係性」を扱う。第三者が入ることで、夫婦の関係性の中に、先祖代々から受け継がれてきている文化やシャドウなど、自分たちでは気づけなかったことに自然と気がついていけるようになる。その気づきが癒しと成長につながっていく。

​夫婦に限らず、チームや組織の関係性にも第三者の支援や伴走が効果的であることが近年注目されている。
 
アンカー 4
夫婦の関係性に向き合い始めて、数か月が経ったころ、私たちはお互いに対して不思議な安心感を持っていることに気がついた。
 
依存しているのでもなく、互いに自立していながら、互いが大切にしたいことを尊重しながら前に進んでいる感覚。

私たちが何を大切にしたいのか。
何を譲れないと思っているのか。
家庭のこと、仕事のこと、健康のこと。
これからのこと。

私たちは自然と話せるようになっていった。

家庭のために、キャパシティを超える仕事をして、健康を害するのは、私たちにとって幸せなことなのだろうか?

何かと比較して意思決定することは、私たちが心から望んでいる意思決定プロセスなのだろうか?

未来のために、今を犠牲にする生き方は、私たちが好む生き方だろうか?

「どう生きるのか?」
​「なぜ、今、この時代を生きているの?」


​沢山の実存的な問いに向き合う中で、本当に見つめるべきものは、一番近くにあり、どれだけ探しても外側にはないということがわかった。

実存的に生きることはやさしい道ではない。「一般的には○○でしょ」「普通は○○する」そんな当たり前を疑って、自分なりに考え、感じて、答えを出していくのだから。


それでも、私たちは実存的に生きる選択をした。
​そのプロセスは驚くほどゆっくり進む。

#4 本当に見つめるべきもの

Image by Михаил Павленко
ちょこっと解説
2人の関係性がシフトしていくと、深い安心感が生まれる。それは、2人がトランジションしたからだ。トランジションとは「自分自身が本質的に変わること、環境や心理的変化について理解を深め、受け入れるプロセス」を指す。似た言葉で、チェンジがあるが、2つの言葉は根本的に異なる。

トランジション「自分が本質的に変わる」
チェンジ「自分以外のものを変える」
 
トランジションには様々な葛藤が起こる。そのプロセスの最中は移行していることに気づきにくいが、移行して振り返ってみると様々な気づきがある。

2人のトランジションの先に実存的に生きるというものがあった。
※実存とは社会的価値観や評価に左右されること無く自分自身の存在を認め、自分らしく生きること。 「我-汝」の実践。ゲシュタルト療法の根幹の哲学でもある。
アンカー 5

#5 ARUKUKI創業

Image by Fallon Michael
生きとし生けるもののの「本質的な成長と発達」とは何だろうか。

​夫婦でこの問いに向き合っていく中で、トランジションが起こり、痛みの伴うプロセスを丁寧に歩んできた。

人間に限らず、生きているものは成長をする。その成長の中には「老い」も含まれる。

​生まれてから死ぬまで、私たちはどのような旅路を経ていくのだろう。命の力に意識を向けてみると、そこには「うずき」がある。

 
私たちは周りの期待に応えようと、一生懸命に頑張り、何ものかになろうとすることもあるけれど、一方でもともと持っている命の力がある。
 
ARUKUKIが大切にしているのはこの世界観。
「私たちは有機体として自分にとって必要なことに気づき獲得していく力がある」

その歩みのスピードは、現代社会から見たらゆっくり過ぎるのかもしれない。
 
でも、そんなに急いで何をするの?
効率化して捻出した時間を使って、何をするの?

命の力に意識を向けて生きること、ゆっくり歩むことで見える景色もある。
 
まずは、自分の命を満たすこと。
自分と同じように、目の前の人の命も慈しむこと。

私たちは、命の本来性を大切にしながら、「全体性の回復」を提案している。びっくりするような体験、ゆっくり地道な実践、つながりの中での学びの深化を支援すべくARUKUKIは生まれた。

びっくり・ゆっくり・つながり
​これからARUKUKIがどこに向かうのか楽しみだ。
ちょこっと解説
人間の成長と発達は一朝一夕で起こるものではない。そのタイミングが来るべくして起こり、何年も時間をかけてシフトしていく。そんな中で、成長発達が停止することがある。そんな時、対人支援にまつわる様々な叡智が役に立つ。

インテグラル理論は成長の地図を示してくれる。
成人発達理論は自分の現在地と発達課題の可能性を示唆してくれる。
コーチングは気づきと行動のプロセスを育んでくれる。
ゲシュタルト療法は実存的な生き方を問うてくれる。
システム思考は視点取得とつながりの可能性の幅を広げてくれる。
ソマティックアプローチは心と体の繋がりを思い出させてくれる。
​ユング心理学ではシャドウや夢をはじめとする無意識領域を豊かに探求できる。
などなど。

どのような学びも実践も最適なタイミングと取り組み方がある。ARUKUKIは支援者として、命の力が自然と発揮できるよう関わることにこだわりを持っている。
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読んでくださりありがとうございました!

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